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「器とコーヒー」
自宅でコーヒーを淹れるとき、お気に入りの器がある。
それだけで僕の日常は少し心安らぐ。
冬は薄いビロード色のマグカップ。
夏は取っ手のついた深めのガラスカップ。
どちらも高級ではないけれど、僕の手と口元にしっくりくるのだ。
正直言って、コーヒーの味が分かるほうではない。
けれど自分で淹れたコーヒーはなんだか美味しい。
たとえそれが市販の粉と水道水を沸かしたものであっても。
だから、ただ単にコーヒーが好きなのではなく、
コーヒーと共に過ごす時間を愛している。
そして、そこに欠かせないのが僕の器なのだ。
実は先の二つの器に加え、複数の控え組もベンチで出番を待っている。
豆を変えたときや、気分を変えたいとき、天気や気温にあわせてみたり、
「今日はこれで飲んだら美味しいかもな」なんて、
僕の根拠のない独りよがりに彼らは付き合ってくれる。
おかげで年に数回の代打しかない器もあるが、それぞれが個性的で愛らしい。
さあ、もうすぐ衣替えの季節。
夏から秋、そして冬へ。
新メンバーを迎えて、独り楽しむカフェタイムを、また充実させても良い頃だ。